骨粗しょう症の症状
骨粗しょう症は、骨量が減少し、骨が変化してもろくなり、骨折しやすくなる病気です。
破骨細胞が古くなった骨を溶かし壊す働きをし、骨芽細胞がカルシウムなどを運んできて骨を再生しています。この骨が壊され作られるバランスが保たれることで、健康な骨が維持されています。
バランスが崩れ骨が壊される働きが強くなり、また骨を作る働きが弱くなると、再生がおいつかなくなり骨がスカスカで強度が弱くなり骨粗しょう症になってしまいます。
しかも、骨全体が弱まって骨折してしまうため、折れてしまった骨が元に戻るまでに時間がかかるようになり、また、骨折が原因で日常生活行動の低下、さらには寝たきりになってしまうこともあります。
■痛みの種類として、安静時の痛み~不快感、前屈時痛、起坐位時の痛み、歩行時の痛み、寝返り時の痛みがあります。
■大腿骨頸部、脊椎、橈骨遠位端、上腕骨頸部、肋骨など骨折しやすくなります。
■前傾姿勢になるため体のバランスが不安定となり転倒しやすくなります。
■腹部膨満による食欲減退。
■食べたものが喉につかえるなどの胸焼け症状。
■急に起き上がれない、長距離歩行が困難、上を向いて安眠できないなどの日常生活行動の低下。
■身長低下
などがあります。
骨粗しょう症の原因
骨は、破骨細胞と骨芽細胞の2種類の細胞がバランスを保って働いていますが、骨を溶かす破骨細胞の働きが、カルシウム不足などで骨をつくる骨芽細胞の働きを上回ると、骨の再生が間に合わなくなって、もろくなり骨粗しょう症を招きます。
骨の量は男女ともに20~30代でピークになり、その後、一定の骨量を保ちますが、女性は閉経の後、女性ホルモンの量が減り始め、年を重ねるごとに減少していきます。
女性ホルモンのひとつであるエストロゲン(卵胞ホルモン)には、骨をつくるとともに、骨からカルシウムが過剰に溶け出すのを抑える働きがあり、更年期に入って卵巣の機能が衰えると、このエストロゲンの分泌量が急速に減少し、そのため、更年期を迎えた女性は、骨量が急激に低下してしまい、骨粗しょう症にかかる危険性が高まります。
またダイエットや運動不足が原因で骨がスカスカになったケース、妊娠や授乳で骨がボロボロになったケース、スポーツ選手でハードな減量とトレーニングから月経も止まり、骨折しやすくなったケースなど、若い女性の骨粗しょう症も多いです。
若いうちに骨量が減ってしまうと、更年期に入って骨粗しょう症にかかる危険性が非常に高くなります。
治療のポイント
骨粗しょう症になってしまっている方は、食事療法・運動療法・薬物療法の3点で治療を行ないます。
日常生活における、骨粗しょう症治療のための食事療法の基本的な考え方は栄養素を過不足なく摂取することです。 日本人の高齢者において、800㎎/日以上のカルシウム摂取でようやくカルシウム量がマイナスにならないのです。
更年期、老年期の骨密度減少を抑制するためには、最低でも800㎎/日以上のカルシウム摂取が必要です。また、カルシウムの吸収をよくするためにビタミンDの多い食品を組み合わせることも大切です。
また運動習慣を身につけ、適度に骨に負荷をかけてあげることが、骨密度を保ち骨折を予防するのに役立ちます。
さらに、屋外に出て日光に当たることで皮膚から体内へのビタミンD産生を促すことができます。
散歩(ウォーキング)や買い物に行くなどこまめに体を動かすことを心がけましょう。
骨粗しょう症の基本的な治療法はあくまでも
・食事で十分なカルシウムを摂る
・運動をする
・日光を浴びる
の3点です。しかし、骨密度が大幅に減少している人は、このような生活改善だけで骨密度を増やそうというのは無理があります。
そこで、少しでも効果を高めるため、これらの生活改善と並行して薬による治療も行ないます。
骨粗しょう症の予防
骨量は、骨格の成長とともに20歳ごろまで増加し、成人期にピークを迎え、中高年期にはしだいに減少します。40歳を過ぎたら、定期的に骨量の測定を受けて対処していくのも予防の一つです。
過度の運動、過度のダイエット、女性では生理不順を招くような過労は、骨量を減らすので注意が必要です。女性は閉経期以降、骨量が減少しますが、日常生活の過ごし方で減り方が大きく違ってきます。適度な運動、十分なカルシウム、家に閉じこもらない生活が大切です。
また喫煙やお酒の飲み過ぎは骨量を減らすので注意が必要です。
骨の構造を建築物に例えると、建物の柱に相当する部分がコラーゲン繊維で、壁に相当する部分がカルシウムで出来ていると、例える事が出来ます。
ですから、カルシウムと同時にコラーゲンも積極的に摂取しましょう。
骨を丈夫にするには、骨の材料になるカルシウムをたっぷりとることが必要です。同時にカルシウムの吸収を助けるビタミンDをとったり、カルシウムの利用を妨げる塩分・アルコール・タバコを控えるなどの注意も大切です
■カルシウム
骨の材料になるカルシウムを十分にとることが大切。
■ビタミンD
カルシウムの吸収を助けるビタミンDを取ることも必要。
■ビタミンK
カルシウムの沈着などをコントロールしてくれます。
■ビタミンC
骨の中のコラーゲン合成に必要
■タンパク質は適量を
タンパク質のとりすぎは、カルシウムの利用を悪くする。
■塩分のとりすぎに注意
塩分をとりすぎると、カルシウムの利用が悪くなる。
■リン、マグネシウムも必要
リンは穀物や肉に、マグネシウムは幅広い食品に含まれ、両方とも骨の材料になります。ただしリンのとりすぎはカルシウムの吸収を妨げます。
ただ、インスタント食品や加工食品、清涼飲料水などに多く含まれる「リン」には、カルシウムの吸収を妨げる作用があるので、できるだけとらないほうが良いです。
■アルコールは控えめに
アルコールの飲み過ぎは、カルシウムの吸収を妨げます
■喫煙に注意
喫煙はカルシウムの吸収を悪くするため注意 。
運動と日光浴でカルシウム効果を高める
●運動
食べ物からとったカルシウムを骨に蓄えるためには、体を動かすことが必要で、歩行・ジョギング・エアロビクスなど、適度な運動は骨の新陳代謝を活発にし、カルシウムが骨に定着するのを助けます。週に3回以上、30分~1時間ぐらいが理想です。ひざへの負担が少ない運動として水泳や水中ウォーキングなどもいいですね。
●日光浴
カルシウムの吸収を助けてくれるビタミンDは、日光浴で作られます。皮下脂肪にはビタミンDになる前の物質があり、日光の紫外線を浴びることによりビタミンDに変化します。