子宮にできるがんには、「子宮頸がん」と「子宮体がん」があります。
子宮頸がんについて
子宮の入口付近の子宮頸部にできるがんです。20代から増え始め、40~50代でもっとも多くなります。頸がんには、子宮のごく入口付近にできる子宮膣部がんと入口の中にできる子宮頸がんがあります。
子宮頸がんの症状
がんが子宮頸部の表面にとどまっているごく初期の段階では、ほとんど症状はありません。まれに性交後出血がみられるくらいです。しかし、進行してくると断続的、または持続的な出血が起こるようになり、おりものも増えてきます。がんが子宮以外にも広がると腰痛や腹痛などの症状も出てきます。
子宮頸がんの治療
ごく初期の段階では、妊娠を希望する人には、レーザー光線で患部を焼いたり、子宮頸部を円錐状に切り取る手術を行って、子宮を残すことも可能です。進行してくると子宮を全部摘出する必要があり、子宮だけでなく、その周囲の組織や膣の一部、リンパ腺なども摘出します。
子宮頸がんの中でも、膣部がんでは、放射線を照射してがん細胞を殺す放射線療法も効果を上げています。進行の度合いによって、手術後に放射線治療を行ったり、抗がん剤をつかう化学療法、免疫を高めてがんを攻撃する免疫療法を組み合わせて治療を行います。
子宮頸がんの予防
子宮頸がんは治癒率が高く、早期で発見して治療を行えば、ほぼ100%治ります。しかし、初期には自覚症状がほとんどないので、症状がなくても年に1度はがん検診を受けてチェックしましょう。
一方頸管がんの場合、早期発見はなかなか難しく、検診でも初期では見つからないことも多いがんです。
どちらのがんも、性交後の出血や月経と無関係な出血がみられるときは、要注意。早めに検診しましょう。
子宮体がんについて
子宮の奥の子宮体部にできるがんです。
子宮頸がんと異なり、月経による内膜剥離がなくなった閉経後になりやすいがんです。実際、子宮体がんの患者の8割ほどが閉経後です。もっとも多いのが50代で、ピークは50代後半です。
子宮体がんの原因
原因は不明ですが、ホルモンのバランスが悪いことが影響すると言われており、エストロゲンの持続的な分泌が引き金になると考えらています。
子宮体がんの症状
子宮体がんは、不正出血が特徴的です。初期にはこれといった症状が出ない場合もありますが、進行してくるとたびたび不正出血を起こします。
理由もなく出血が続いたり止まったりを繰り返すのも子宮体がんの特徴のひとつですが、この不正出血を閉経前の月経不順と勘違いして、発見が遅れるケースも非常に多くみられます。
下腹部の痛みや悪臭のあるおりものが増えてくると、がんはかなり進行しています。
子宮体がんの治療
子宮体がんの場合は、手術が原則です。初期の段階では、子宮全摘だけを行いますが、その後は子宮とともに転移しやすい両側の卵巣、卵管とリンパ節も摘出します。
症状によって、放射線療法やホルモン療法、抗がん剤での治療を併用することもあります。
子宮体がんの予防
予防にはまず肥満にならないことが大切です。早期発見には45歳を過ぎたら年に1度定期健診を受ける必要です。検査で見つからない場合も2割ぐらいありますので、特に閉経後に出血がみられる場合は、再度検診しましょう。