乳がんについて
乳がんは乳房の中にある乳腺に発生します。進行すると、乳腺の外にまでがん細胞が増えて、全身に広がることがありますので、早期発見・治療が重要です。
日本で乳がんは、中年女性のかかるがんの第1位です。乳がんの発生率は30代から増えて、40代後半から50代前半のちょうど更年期世代にもっとも多く発症します。
乳がんの原因
乳がんの発生には、環境的な要因と遺伝的な要因があると考えられています。がん自体は遺伝しませんが、がんになりやすい体質が遺伝すると考えられています。
乳がんにかかりやすい女性の特徴として、
- 40歳以上
- 家族に乳がんになった人がいる
- 初経が11歳以下、閉経が55歳以以降の人(月経の年月が長い人)
- 出産経験がなり、あるいは初産年齢が30歳以上の人
- 肥満の人
女性ホルモンのエストロゲンはがん細胞の増殖に関与しますが、このエストロゲンにさらされる期間が長いことが、乳がんの発生につながっていると考えられます。また肥満がリスクになるのも、脂肪細胞でエストロゲンが作られるからです。
乳がんの症状
かなり進行するまでほとんど無症状のことが多いです。下腹部が張ってふくれた感じがする、しこりにふれるなど、卵巣嚢腫と同じ症状が出てきますが、ののときには、がんはかなり進行していることも少なくありません。また下腹部のふくらみは、肥満のせいと思い込んでいて、発見が遅れるケースもしばしば見られます。
乳がんの治療
乳がんの治療は、まず手術でがんを取り除くのが基本です。手術後は、再発予防としてエストロゲンを抑えるようなホルモン剤治療、化学療法、放射療法などが行われます。
手術は大きく分けて、乳房温存手術と乳房切除術に大別されます。
乳房温存手術
乳房温存手術には、切除する範囲によっていくつかの方法があります。最大のメリットは乳房が残ることですが、乳房内のがんの広がりが大きいときや、がんが何ヶ所にもできる多発がんのときななどは、乳房を温存する手術は適用できません。場合によってはがんが大きくても、抗がん剤、放射線を使ってがんを小さくしてから温存手術を行うこともあります。
乳房切除術
大きいがんの手術には、乳房切除術が行われます。いくつかの方法がありますが、現在もっとも一般的に行われているのが「否定型的乳房切除術」で、胸筋を残して、乳房全体とわきの下を切除する方法です。
乳がんの早期発見
乳がんは、早期発見をすれば乳房を安全に温存できるチャンスが大きく増えます。乳がんが急増する更年期に入ったら、肥満に気をつけるなど、少しでもリスクを減らすことが大切ですが、積極的な対策は、30歳を過ぎたら乳がんの定期健診に加えて、自己検診を習慣にして少しでも早く乳がんを発見することです。