更年期に関して知っておきたい用語

更年期障害を改善するためにも基本的な用語を理解しましょう。
更年期に関連する用語を分かりやすく解説しています。

 

女性ホルモンとは

女性ホルモンは、性ホルモンのひとつで、女性の身体的・精神的特徴に関与する女性の美と健康を守るホルモン。
女性ホルモンには、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)があり、このふたつを総称して女性ホルモンと呼んでいます。

女性ホルモンの働き

女性ホルモンは、女性らしさを保ち、子孫を残す機能をもたらす他に、一人の人間として生きていく上に必要な多くの効果があります。
たとえば骨、血管、筋肉を強くしたり、脳や神経の働きをよくしたり、肌や髪を艶やかするなどさまざまに働きがあります。

一般に女性の肌は、24~25歳の頃が最も水分が多く、弾力性もあり、美しい肌をしていますが、
それ以降は年齢を重ねるとともにしわやしみが増えたり、乾燥したりして肌の輝きが減ってきてしまいます。
また、閉経になることで女性の肌の衰えは急激に加速してしまうことも多いです。
閉経後の肌の衰えは、皮膚への紫外線による影響が出やすくなるためと、女性ホルモンが急激に少なくなるためであると考えられています。
女性ホルモンは皮膚の水分量を増やし弾力のある美しい肌を保つなど、様々な効果をもたらしています。
女性ホルモンが少なくなるとともに皮膚が衰えてしまうのです。

健やかに、そして女性らしく美しく生きるために女性ホルモンは大きな役割を担っています。
また、更年期障害は卵巣機能が急激に低下して、女性ホルモンの量が減少して起こるのです。

女性ホルモンと男性ホルモンの違い

女性ホルモンと男性ホルモンは、女性と男性のそれぞれ特徴のある体格や体質を作るばかりでなく、
他にも様々な働きをしています。

男性ホルモンの主な働きは、皮脂の分泌を促します。
また、女性ホルモンの主な働きは、記憶力を保つ働きをします。
女性・男性ホルモンは、性別を超え、とても大切な役割を果たしています。

男性の体内でも女性ホルモンが、また女性の体内でも男性ホルモンが作られ、分泌されています。
ただ、作られるホルモン量は異なり、男性の体内でつくられる女性ホルモン量は女性の半分程度、
女性の体内でつくられる男性ホルモン量は男性の約1/10程度です。

女性ホルモンを増やす方法

現代の女性はストレスが原因で、性ホルモンの分泌量が落ちてきているといわれます。
ストレス社会に負けないように、女性ホルモンの分泌量を増やす方法を実行してみましょう。

■女性ホルモンを増やす薬、サプリメントの活用
■女性ホルモンの分泌量を増やすために、趣味を持つ、アロマテラピーの活用、恋愛をする、小説やドラマなどで感動するなどが上げられます。
■適度な運動や規則正しい生活、そしてバランスのよい食事をする

 

ホルモン補充療法(HRT)とは

ホルモン補充療法とは更年期によって減少する卵巣ホルモンを注射・服用・貼り薬などによって補い、
更年期の症状を軽くしようという治療法。
更年期障害は女性ホルモンの分泌低下が原因となって起こる症状なので、
そのホルモンを補うことで治療しようとするものです。

すぐに高い効果が期待できますが、その分リスクもあります。
ホルモン補充療法(HRT)は、Hormonereplacementtherapyの略。

欧米ではホルモン補充療法(HRT)はもっとも有効な更年期障害の治療法のひとつですが、
日本ではまだ少ないようです。
高い効果が期待できますが、副作用が起こる可能性もありますので、ホルモン補充療法(HRT)の長所と短所を正しく理解して、自分で納得して使いましょう。

ホルモン補充療法(HRT)の効果

つらい症状から開放される

更年期障害では様々な症状が現れます。
それぞれの症状を治療するとなると、何種類もの薬が必要になりますが、HRTだけで総合的な効果が得られます。
また、短期間でつらい症状の改善が得られるます。

気分を明るくする効果も

エストロゲンには、気分を明るく作用がありますから、
ホルモン補充療法を受けた多くの人が「気分が明るくなった」と言われます。

性交痛や頻尿の改善

膣のヒリヒリ感や性交痛などは、更年期を迎えた多くの人が感じることです。
エストロゲンには、皮膚や粘膜組織を強くしてみずみずしく保つ働きがあり、ホルモン補充療法によって膣粘膜の潤いも取り戻せます。

アンチエイジング効果も

エストロゲンの減少によって、皮膚のコラーゲンや角質水分量が失われていきます。
ホルモン補充療法をすることで、出来てしまったしわやしみは消せませんが、コラーゲンが増えたり、肌の水分量をキープできるなど、若々しさを保つ効果があります。
また、皮膚の違和感やゆみ・かさつきの改善にもつながります。

骨量の減少の防止

更年期には、自覚症状もないまま骨粗しょう症や動脈硬化などの症状が進行します。
女性の骨量は、30代半ばから減り始め、閉経後、数年から10年ほどで2~3割減少していきます。
平均的な閉経年齢である50歳ころから骨量の減少はかなり進み、骨粗しょう症が始まっていると言えるでしょう。
60代に入ると腰や背中などに持続的な痛みや骨折しやすくなるなどはっきりした症状が現れはじめ、
65歳以上で5割近くの人が、80歳以上では7割以上の人が骨粗しょう症になるると言われています。

このように加齢とともに進む骨量減少に歯止めをかけて、骨粗しょう症を予防するためにもホルモン補充療法は効果を発揮します。

生活習慣病の予防効果も

動脈硬化は、動脈が老化や病気などで弾力を失い、硬くもろくなった状態で、
心筋梗塞や脳梗塞など心疾患や血管障害の症状が現れやすくなります。
これらの病気は、50歳ころまでは、男性の発症率が高いのですが、
それ以降では女性も高くなり、60代以降では男性と同じになります。

エストロゲンの働きで守られていたコレステロールの増加が、閉経によるエストロゲンの低下で、
一気にその抑制が失われてしまうのが原因です。
エストロゲンには悪玉コレステロールを低下させて、善玉コレステロールの合成を促進させる作用があり、
さらに動脈硬化を防ぐ効果もあり、ホルモン補充療法により、心筋梗塞や脳梗塞などの病気の予防にも役立ちます。

ホルモン補充療法の副作用

子宮体がんの心配

以前、ホルモン補充療法が始まったころは、エストロゲンだけを投与していたために、子宮体がんの発症率が高くなりました。
エストロゲンには子宮内膜を増殖させる作用があるために、子宮がんも発育させてしまったのです。
そこで、本来の月経における自然な女性ホルモンの働きと同じ状態にするため、
エストロゲンと排卵後に分泌されるプロゲステロンを併用するようにしたところ、
子宮内膜の増殖は抑えられ、むしろ子宮体がんの発生は少なくなりました。

乳がんのリスクは?

ホルモン補充療法を行うことで、乳がんの発生リスクを高めるわけではないことがわかっています。
つまり乳がんの発症リスクを減らしはしないものの増やしもしないということです。
ホルモン補充療法を行うときには、半年から1年に1度、乳がん・子宮がんや肝機能などの健診を行いますので、仮に検診で病気が見つかったとしても早期発見、早期治療が可能です。

そのほかの副作用

子宮内膜症や子宮筋腫、乳腺症などの病気がある人は、
ホルモン補充療法を行うことで閉経後おさまっていた症状が再び出てくる可能性があります。

その他、女性ホルモンを投与することで、月経のような出血が起こることがあります。
ただ出血が起きてもその量はだんだん少なくなり、1~3年ほどでなくなります。

また服用を開始しだしたころは、月経前のように乳房の張り、むくみ、おなかの張り、イライラ、吐き気などが起こることがあります。
これらの症状は、薬の種類を替えたり量を加減して、様子を見るうちに消えることがほとんでです。

 

不定愁訴(ふていしゅうそ)とは

不定愁訴とは、体のどこが悪いのかはっきりせず、検査をしてもどこが悪いのかはっきりしないもの。

倦怠感、頭痛、腹痛などのさまざまな身体的な自覚症状があるにもかかわらず、
血圧や心電図、血液検査などをしても検査上の数値には異常がなく、
明らかな原因となる異常が見つからない場合、不定愁訴と診断されることがあります。
患者の主観による症状の訴えは強いが、客観的な診断が難しいとされています。

例えば全身倦怠、疲労感、微熱感、頭重、頭痛、のぼせ、耳鳴り、しびれ感、動悸、四肢冷感などや自律神経失調症や更年期障害、心身症の症状として現れることが多いです。
不定愁訴は、症状が多様で一定しないなど症状がめまぐるしく変わるのが特徴です。

主な症状

  • 倦怠感、疲れやすい、突然のほてり・のぼせ、動悸、大汗をかく、皮膚のかゆみなど
  • 感覚器:耳鳴り、嗅覚の異常、味覚の異常、物が二重に見える、唾液分泌の異常、口内乾燥、眼球乾燥など
  • 消化器:食欲不振、胃痛、胃もたれ、頻尿、便秘、下痢など
  • 運動器:首や肩・背中のコリ、手足のしびれ、手足の冷えなど
  • 泌尿器・生殖器:残尿感、頻尿、血尿、月経異常、性欲低下、性交痛など

他に頭痛、頭重、めまい、息切れ、イライラが続く、不安感が続く、不眠症、ノドの異物感など
の症状が現れることがあります。

不定愁訴は、症状が一定せず、日によってまたは1日の内に何度も症状が変化するなど、症状の出方に波があります。

 

スーパーウーマンシンドロームとは

スーパーウーマンシンドロームとは、何事も完璧を強く自覚する反動でおこるストレス症状。
キャリアウーマンに多いストレス症候群。
仕事だけでなく、妻として母として完璧であろうと頑張りながらも、自分の目指すレベルでの両立ができずにストレスがたまって、心や体に不調をきたすものです。

仕事と主婦の仕事を完璧にこなそうとする女性に多く、特に30代の女性に多くみられる傾向があります。
仕事や家事などを完璧にこなすスーパーウーマンにも、過労死が近年広がっているといわれています。
たまには、手抜きのリラックスした休日を過ごすことが何より大切でしょう。

主な症状

動悸、息切れ、立ちくらみ、めまい、食べ過ぎ、食欲不振、下痢、過敏性大腸炎、生理不順、肩こり、慢性的な頭痛、やる気がない、イライラしがち、不安、不満、うつ状態

対策

すべてを自分でやろうとしないこと。
罪悪感を感じるかもしれませんが、手抜きをしたり、人に手伝ってもらうようにしましょう。
また自分とって優先順位の高いものや今やらなくてはならないことを見極めることも大切です。

一日の中で自分の時間を持つことも、スーパーウーマン・シンドロームの対策。
好きな音楽を聴いたり、映画を見たり、お風呂でリラックスしたりしましょう。
家事を忘れてゆったりと休日を過ごすようにするのがよいでしょう。
家族の協力が大切です。

一番の対策は、ストレスからの解放。
無理をしがちな生活を見直して、力を抜いて自然体で過ごすのが一番。
完璧主義を手放して、ストレスから解放された日々を過ごしてください。

 

仮面うつ病とは

仮面うつ病とは、うつ病でもはっきりした精神症状が出ず、
体の症状という仮面をかぶって様々な症状がでるもの。

うつ病で特徴的な症状である憂鬱な気分などが見られず、
身体の不調の症状のほうがが前面に出てくるので、
「体の病気」という「仮面」をつけたうつ病ということで「仮面うつ病」と呼ばれます。
体の不調の背後で心理的なうつ状態やうつ病が手綱を引いているという病状です。

頭痛、肩こり、月経不順、便秘、食欲不振などの症状が現れたり、
夜中に目が覚めてしまうのも特徴的な症状だといわれています。
更年期障害と間違えやすい病気の一つで、早い時期に適切な治療を受けましょう。

仮面うつ病の主な症状

  • 休んだり寝たりしても疲れが抜けない
  • 眩暈・立ちくらみ
  • 頭が重い感じや頭痛がする
  • 肩・首・背中がこる
  • 胃が重い
  • 動悸がする
  • 痩せてきた

かかりやすい性格

几帳面、義理堅い、生真面目、根性主義、強い責任感、凝り性、完璧癖などの人は、
うつ病に陥りやすいです。

対策

うつ病の症状を自覚していないと、気づかないまま病気が進行してしまいます。
自分自身または周りの誰かが、「もしかして心理的病気なのかも…?」と思い、
心療内科や精神科を受診すればうつ病と分かり、そこで適切な治療を受けることができます。
適切な治療をしましょう。

もし、原因不明の身体の不調に悩まされているなら、一度ぜひ心療内科や精神科を受診してみましょう。

 

女性専用外来とは

女性専用外来とは、女性の体や心のトラブルについて女性の医師が診察してくれるところ。
女性の微妙な苦痛や悩みを理解し、時間をかけてじっくりと話を聞いてくれ、全国的に普及しています。
特に女性ホルモンの影響が大きい更年期のトラブルは、女性ならではの視点で共感して話をきいてもらえるという安心感があります。
女性の気持ちを誰よりも理解している女性医師が共感を持って聞いてくれるため、男性医師には話しにくい悩みも相談できます。

「女性医師に診てもらいたい」「婦人科に行くのには抵抗がある」「じっくり診てほしい」「どこの科に行ったらよいかわからない」といった女性の不満を解消するための外来です。

女性専用外来の特徴

  • 診察は女性医師が行う
  • 診療科を問わずどんな症状でも診る
  • 紹介状はいらない
  • 初診にじっくり時間をかける

といった特徴があります。

 

簡略更年期指数(SMI)とは

簡略更年期指数とは、更年期症状の有無や程度を把握する指数。
簡単に更年期の不調をチェックできます。

この方法で病院へ行く必要があるかどうかが分かります。

日本人の更年期女性特有の症状を反映したもので、よく利用されています。

簡略更年期指数によるチェック方法

10項目の症状を「強・中・弱・無」でチェックして本当に更年期であるかどうかを把握します。
点数 強:10 中:6 弱:3 無:0

  • 顔がほてる
  • 汗をかきやすい
  • 腰や手足が冷えやすい
  • 息切れ・動悸がする
  • 寝つきが悪い、眠りが浅い
  • 怒りやすく、イライラする
  • くよくよしたり、憂うつになる
  • 頭痛、めまい、吐き気がよくある
  • 疲れやすい
  • 肩こり、腰痛、手足の痛みがある

合計点による自己採点の評価法

点数評 価
0 - 25異常なし
26 - 50食事・運動に注意
51 - 65更年期・閉経外来を受診しましょう
66 - 80長期にわたる計画的な治療が必要でしょう
81 - 100各科の精密検査に基づいた長期の計画的な治療が必要でしょう

 

内分泌検査とは

内分泌検査とは、内分泌機能の状態を把握するために、
尿中や血液のホルモンやその代謝産物を測定する検査。
卵胞刺激ホルモン量とエストロゲン値を測定することで、ホルモンの状態が分かります。

更年期障害も、この内分泌検査を行い血液中のエストロゲンの低下と卵胞刺激ホルモンFSHの上昇を調べることで診断されます。
治療には、低下した女性ホルモンを補充する「ホルモン補充療法HRT」が効果的。

更年期かなと思ったら、婦人科で検査することができます。

 

月経前症候群(PMS)とは

排卵から月経開始までの時期に現れる身体的・精神的トラブルの総称。
PMSは、Premenstrual Syndromeの略。
ホルモンのバランスが崩れることにより、さまざまな症状が現れます。

月経前症候群の症状は、さまざま。
「胸が張ってくる」「下腹部に痛みを感じる」といった身体的なものや「怒りっぽくなる」
「理由もなく悲しくなる」というような精神的なものなど。
月経前症候群は、排卵のある女性であれば、誰にでも起こり得る症状。

症状の度合いも個人差があり、それほど気にならない程度の人もいますし、
逆に日常生活が困難になってしまう人もいます。
極端に重度の症状が現れることを月経前不機嫌性障害(PMDD)といい、
月経前症候群の症状を訴える女性のうち約5%は、適切な治療が必要となります。

主なな症状

腹痛
乳房症状
胸が張る
乳首がひりひりする
胃腸症状
便秘
下痢
吐き気
頭痛
眠気
のぼせ
冷え
むくみ
精神神経症状
イライラする
怒りっぽくなる
憂うつ

 

若年性更年期とは

若年性更年期は、20~30代の若い世代で更年期のような症状が現れること。

若年性更年期障害であると気付かなかったり、自覚症状を感じていても、放置しておくと、
月経が止まったり、不妊症になりやすいなどさまざまな弊害を引き起こす可能性があります。

通常の更年期は、卵巣機能が衰えることで女性ホルモンが減少する。
一方、若年性更年期は、卵巣に異常がないが、一時的に女性ホルモンの分泌が減少する。
卵巣自体の機能低下ではなく、ストレスなどによりホルモンバランスが崩れる場合が多く、
30代での早期閉経の割合は少ない。

若年性更年期の症状

若年性更年期障害の症状は、生理が不順になったり、手足の冷え、ほてり、頭痛、耳鳴り、イライラ感、うつなど閉経前後に起こりがちな一般的な更年期障害の症状と変わらず、同じような症状が若年性更年期障害でも見られます。

主な症状

  • 生理不順が続く
  • 手足が冷える
  • 頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気などがある
  • 肩こり、腰痛、手足のしびれや痛みがある
  • 身体がだるく、疲れやすい
  • 動悸・息切れがある
  • イライラして、怒りやすい
  • 顔が火照る
  • 寝つきが悪く、眠りが浅い
  • 汗をかきやすい

若年性更年期の原因

若年性更年期の原因は、女性ホルモンのバランスが乱れることで、自律神経の働きが乱れ、
更年期と同じような症状が現れる考えられている。
女性ホルモンの分泌の乱れは、過度のストレスや不規則な生活などにより起こりやすくなります。

若年性更年期となる対象は20代、30代の比較的若い年代で、
この年代の人は仕事やプライベートなどで無理をしがち。
さまざまな面でストレスも溜め込みやすい生活習慣になっている人も多く、
肉体的・精神的な過度の負担も影響していると思われます。

若年性更年期の予防と治療

若年性更年期の改善や予防に重要となるのが、十分な睡眠時間を取ることやストレスを過剰に溜め込まないなど、精神的・肉体的にリラックスさせること。

更年期障害と似たような症状を自覚しているなら婦人科などの病院で診療を受けるとよいでしょう。

 

早期閉経とは

早期閉経とは、43歳未満で卵巣機能が衰え、閉経と同じような状態になること。
早発閉経とも呼びます。

卵巣の中には将来排卵すべき卵子が存在するはずなのですが、
その卵子がなくなってしまったり、卵子の発育が阻害されて卵巣が機能しない状態。

更年期と同じように、卵胞刺激ホルモンの割合が高くなるため、
血中のホルモン濃度を測って測定します。

早発閉経と診断されると卵巣機能不全として治療の対象となります。

早期閉経の症状

月経がなくなると女性ホルモンの分泌もなくなります。
女性ホルモンが欠落すると更年期障害のような症状が現れます。

具体的には、自律神経調整機能の変化に伴い、ほてり・のぼせ・多汗や、頻脈、息切れ、動悸、
めまい、血圧の変動、耳鳴り、下痢、便秘、尿失禁、頭痛、肩こり、腰痛、関節痛、
微熱、皮膚の乾燥、かゆみ、疲労感などの症状が現れます。

また、精神的症状として情緒不安定、不眠、イライラ、不安感、あせり、抑うつ感などが起こります。

早期閉経になると妊娠することが難しくなりますが、
可能性が無いわけではないので早めに専門医に相談しましょう。

早期閉経の原因

遺伝的なもの、自己免疫異常によるもの、卵巣の手術や放射線治療、化学療法による卵巣機能低下などが原因として考えられています。

また早発閉経の人は、リウマチや甲状腺機能低下症など自己免疫疾患を併発していることが多いようです。

早期閉経の予防と治療

予防策としては、正常な時期に正常な変化が訪れるように、心身のバランスを整えることです。
早期閉経の治療は、妊娠をしたい人と妊娠を希望しない人とで違ってきます。

妊娠を希望する場合

妊娠を希望する場合の治療法は、主にホルモン療法を行います。
ゴナドトロピンを正常化して排卵誘発剤によって排卵を促す治療法。

自己免疫疾患であるリウマチなどが関与している場合は、
プレドニゾロンというステロイド系抗炎症薬を使い排卵を試みます。

妊娠を希望しない場合

妊娠を希望しない場合は、骨粗しょう症など更年期症状を予防するため
エストロゲン・プロゲステロンなどのホルモンを補充する治療などが行われます。

 

月経困難症とは

生理のときには、多くの女性が痛みなどの症状を感じまが、
日常生活に支障をきたすほどのものを月経困難症と呼び、一般的な生理痛とは区別しています。

例えば、生理になると痛みがひどく、耐えられなほどの重い症状になり、
仕事や学業などの社会生活が困難になることもあります。
痛み以外にも吐き気や食欲不振、下痢、頭痛などの症状が併発することが多く、
月経困難症の女性にとって生理の期間はとてもつらいものとなります。

月経困難症には2種類あり、ひとつは原因となる病気があるために起こる「器質性月経困難症」、
もうひとつはとくに原因となる病気がないのに起こる「機能性月経困難症」です。

子宮収縮が健康な人の約2ー3倍強いと言われています。
原因をはっきりさせるためにも婦人科の診察を受けましょう。

月経困難症の症状

主な症状として腰痛、下腹痛といった骨盤を中心とした痛みや
頭痛、吐き気、嘔吐、乳房の痛み、下痢、便秘などがあります。
他に疲労感、倦怠感、食欲減退などもあります。

これらは月経開始直前あるいは初期に強く現れます。

器質性月経困難症

月経の4~5日まえから、月経終了後まで鈍い痛みが続くことが多い。

機能性月経困難症

月経量の多い時に痛みが強く、けいれんするような痛みが周期的にやってきます。

月経困難症の原因

器質性月経困難症

体の臓器に病気があるために起こる月経困難症。
原因となる病気には子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫などがあります。

機能性月経困難症

体の臓器に原因はなく、プロスタグランジンというホルモンの影響で起こると考えられている月経困難症。

月経困難症になると月経時に子宮内膜でプロスタグランジンが過剰生産されます。
プロスタグランジンは全身の平滑筋を収縮させて頭痛、嘔吐などを引き起こすほか、
局所においては子宮の過剰収縮によりずきずき痛むことがあります。

月経困難症の治療

器質性月経困難症の場合、原因となる疾患の治療を行います。

軽度であれば鎮痛薬の投与による経過観察をします。
鎮痛薬としては主にプロスタグランジンの合成阻害作用があるポンタール、ロキソニン、ボルタレンなどの
非ステロイド性鎮痛薬を月経前から服用します。
また漢方薬が有効な場合もあります。

痛みが強い人には、低用量ピルの投与により、月経量が減るのと同時に症状が改善することが多いです。

機能性月経困難症の治療

機能性月経困難症の場合、対処療法として鎮痛剤が用いられます。
痛みの原因となっているプロスタグランジンが必要以上に多く出ることを防ぐ薬が一般的に使われます。
生理が始まる1~2日前から服用し始めると効果があると言われています。

症状がかなり重い場合には、ピルが使われる場合もあります。
ピルは必ず医師の指導通りに服用しましょう。

月経困難症の予防

身体的に活発な女性は、活発でない人に比べて生理痛を起こしにくいと言われています。
つまり、運動をしていると生理痛を軽くするのです。
また、タバコやお酒は、激しい生理痛をおこす原因になります。

お腹や腰を温める

使い捨てカイロなどでおなかや腰を温めます。
温熱作用で血液循環がよくなり痛みが和らぎます。

足浴・腰浴

下半身の血液循環を改善し、生理痛の痛みには特に効果的。
足浴は、洗面器に41~42℃くらいのお湯を入れ、くるぶしまで浸して15~20分ほど温まります。
腰浴は、心地良い温度の湯船にみぞおちあたりまでつかり15~20分。
額に汗をかく程度まで温まるのがポイントです。

運動

ジョギングやウォーキングなど日常的に体を動かすことが大事。
腰を回すストレッチなどは骨盤をゆるめ、骨盤内の血流を良くし、うっ血を取ります。

 

ホットフラッシュとは

ホットフラッシュとは、暑くもないのに突然、顔や上半身がカーッと熱くなったり、汗が噴き出す、のぼせる、ほてるなどの症状。

更年期障害で最も多く典型的な症状。
体内がカーッと熱くなるところから英語でホットフラッシュと呼びます。

この症状は男性も女性も起こりますが、圧倒的に40代と50代の女性、つまり更年期前から更年期中の女性に多い。

ホットフラッシュの症状

のぼせは、頭に血が上った様な状態ですが、ホットフラッシュの症状の現れ方は様々。
何の前触れもなく起きる人、毎日同じ時間に症状が出る人、仕事の時間になると出る人など。

ほてりは体がカーと火照ってしまい顔が紅潮し汗をかいたりします。
冬の寒い日でも突然暑くなって汗をかいてしまいます。
運動もしていないのに顔や体から汗が出てしまいます。

これは血管系の自律神経の乱れに起因します。
自律神経は血管を収縮・拡張させる作用があります。
特に上半身の血管を取り巻いている神経の興奮状態によって、のぼせ・ほてり・発汗などが起きます。
気にすれば気にする程、ほてりやのぼせ、発汗は止まらなくなってしまいます。

ホットフラッシュの原因

ホットフラッシュを引き起こす原因は、更年期障害だけではなく、自律神経の乱れが関連しているので年齢が若いからといってホットフラッシュの心配がないというわけではありません。

女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減少することでホルモンバランスが崩れ、結果、自律神経のバランスが乱れて、体に異変が起こるのです。

ホットフラッシュの対策

自律神経の乱れが原因なのでリラックスできる方法を見つけられると症状は少し緩和されます。
とにかく無理に止めようとするとむしろ止まらなくなるので、できるだけ気にし過ぎないことが大切です。

また、体を温めると血液の循環がよくなり、自律神経のバランスが整っていきます。
体を温めるのに効果的なのが運動。

例えば、ウォーキングをすることは、血液の循環が良くなり、からだが温まっていきます。
また気分転換にもなり、ストレスに弱い自律神経のバランスを取るのにも有効。

寝るときは温かくして寝ることが効果的です。

 

エストロゲンとは

エストロゲンとは女性ホルモンのひとつ。
卵胞ホルモンとも呼ばれています。

エストロゲンは特に女性にとって大切なホルモン。
エストロゲンは女性を女性らしくするホルモンで
胸を大きくしたり、女性らしい美肌にしたり、月経の周期に関わったり、妊娠、出産にも影響します。

エストロゲンの分泌量が女性の体調に大きく影響します。
このホルモンが不足すると女性らしさを失うことに。

若いときはエストロゲンは分泌されているのでホルモンバランスに支障はありませんが、加齢とともにエストロゲンの分泌が減少してホルモンバランスが崩れます。
すると体のバランスも崩れて、肌にハリがなくなったり、胸も重力に耐えられなくなります。
エストロゲンの減少は更年期障害の原因となります。

 

プロゲステロンとは

プロゲステロンは、卵巣から分泌される女性ホルモンのひとつ。
卵巣から卵子が放出されたあとに分泌されます。
「エストロゲン」とともに代表的な女性ホルモンとしてよく知られています。
黄体ホルモンとも言います。

プロゲステロンは、生理周期の後半期間の維持、妊娠黄体の形成などを行います。
主に子宮に作用し、体内に水分や栄養素が行き渡るように準備したり、
受精卵が着床しやすいように子宮内膜を厚くしたり、 子宮内膜からの栄養分泌を促す働きがあります。

一方、エストロゲンは、卵巣ホルモンとも呼ばれ、生理周期の前半の期間を安定させる役割を担っています。

エストロゲン、プロゲステロンとも妊娠する上で非常に重要な役割を担っています。

更年期になると

更年期になると女性のエストロゲンの産生は40%~60%低下し、プロゲステロンはほとんどゼロにまで低下します。
結果、エストロゲンが優勢ホルモンになります。
エストロゲンが優勢になると乳癌発症の危険性が高まったり、その他さまざまな症状が現れやすくなります。

プロゲステロンの補充

プロゲステロンが減りすぎると体に障害が起こりやすくなるのでプロゲステロンを体内に補充します。
注射やトローチ、錠剤など補充の方法はいろいろありますが、最適な方法がクリームを皮膚から吸収させる方法と言われています。

皮膚から体内に取り入れる経皮クリームは、手軽で簡単な方法です。
正しい濃度のプロジェステロンクリームを使用し、定期的にホルモンレベルをチェックし、医師の指導の元、正しく使用することが重要です。

 

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症とは、骨量が減少して骨組織の構造がもろくなり、骨折しやすい状態。
骨のカルシウム、ミネラル、たんぱく質などが溶け出して骨がスカスカの状態になります。
結果、骨がもろくなり腰痛、背痛が起きたり、骨折しやすくなります。

骨粗しょう症と女性ホルモン

骨の健康は女性ホルモンと密接な関係にあることが分かっています。
「骨粗しょう症は女性の病気」とまで言われるほど認識が広まっています。

特に骨粗鬆症は更年期以降の女性に多く見られます。
女性はエストロゲンが豊富に分泌されている時は、骨量は多いのです。

しかし、40歳代になりエストロゲンの分泌が減少すると骨の量は急激に少なくなります。
また、年齢とともに骨をつくるカルシウムの吸収が悪くなり、カルシウムが骨から溶け出していくため骨量は下がります。

50歳以上の女性の約2割が骨粗しょう症と推定されています。

最近では、過激なダイエットをするあまり生理が止まるなど女性ホルモン分泌に異常をきたし、
若年性の骨密度低下も問題になっています。
若いときに過激なダイエットをした人は、骨粗しょう症になりやすいので更年期前にできるだけ骨量をアップしておくことが大切です。

骨粗しょう症を防止するためには更年期までにいかに骨量を高く保つかが大きなポイント。
そのために30代からカルシウムを積極的に摂取したり、運動をするなどしてできるだけ骨量を増やしておくことよいでしょう。

骨粗しょう症のセルフチェック

1.身長が低くなった?
2.腰や背中に痛みがある?
3.背骨が曲がってきた?

骨量を減らさないために

1.食生活の改善

○大豆製品を摂る
 大豆製品にはエストロゲンと同じ作用があるイソフラボンが豊富。

○カルシウムの多い食材を摂る
 一日の摂取目安として800mg。
 骨はカルシウムを蓄えています。足りなくなると骨の中のカルシウムが血液中に溶け出す。

○ビタミンKは骨折予防ビタミン
 ビタミンKは吸収したカルシウムを骨に取り込むのを補助する。
 血液中のビタミンK濃度が低くなると骨折のリスクが高まる。
 納豆に多く含まれている。

○ビタミンDを摂る
 サンマ、鮭、鰯の丸干し、あんこう肝、カツオ、きくらげ、干ししいたけなどに含まれる。
 小腸でのカルシウム吸収を補助する。
 日光に当たることで皮膚でも作られる。

2.骨に刺激を与える運動をする

 骨に刺激を与えることで骨量が増えやすくなります。

○ウォーキング
 骨に刺激を与えるためにウォーキングは、できるだけ歩幅を広げて歩く。
 太ももを意識して高く上げ、ドスンドスンと踏みつけるようにウォーキングする。

○もも上げ
 外出できない時は、イスに座ったままできる。
 イスに座った姿勢で太ももを高く上げてドスンと下ろす。

3.体重管理

 エストロゲンの分泌量が少なくなると脂肪の分解スピードが落ち、脂肪が溜まりやすくなります。
 体重管理に気をつけて肥満に気をつけましょう。

 

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