更年期の症状
血管運動神経系の症状
のぼせ、ほてり、冷え、動悸、息切れ、手足の冷え
運動器官系の症状
肩こり、腰痛、関節痛、背筋通
皮膚・分泌系の症状
皮膚や粘膜の乾燥、湿疹、発汗、ドライマウス、唾液分泌の異常、ドライアイ
消化器系の症状
食欲不振、吐き気、便秘、下痢、腹部膨満感
泌尿器・生殖器系の症状
月経異常、頻尿、残尿感、性器下垂感、性交痛
知覚系の症状
しびれ感、かゆみ、知覚過敏、知覚鈍麻
精神神経系の症状
頭痛、めまい、耳鳴り、もの忘れ、憂うつ感、判断力・集中力の低下、不眠、不安感
エストロゲン(女性ホルモン)減少が体に及ぼす影響
更年期の初期の症状のほとんどは、ホルモンのバランスが崩れて起こる自律神経失調が原因です。
脳に
エストロゲンは脳神経系における成長にも影響します。エストロゲンの減少は、記憶力や認識力の低下に関連することが分かっています。
骨に
エストロゲンには、カルシウムの形成・吸収を調節する働きがあるので、エストロゲン減少とともに骨量も急激に減っていきます。
皮膚に
皮膚のハリやみずみずしさを保つ働きをしていたエストロゲンの減少により、更年期以降は、皮膚が薄く乾燥しがちになり、たるみやしわなどが目立つようになります。
泌尿器に
膀胱や尿道の粘膜が萎縮して薄くなるために、尿意を感じやすくなります。排尿に関係する筋肉の萎縮やゆるみにもつながり、尿失禁に悩む人も増えてきます。
膣に
膣粘膜に作用するエストロゲンが減少すると、抵抗力が弱まって外部からの刺激により炎症を起こしやすくなります。膣の潤いが不足して、性交痛を感じることがあります。
心臓血管系に
エストロゲンには悪玉コレステロールを減らし、動脈硬化を防ぐ働きがあるために、月経のある期間は男性より若い血管を保つことができます。しかし、閉経後は男性と肩を並べて、動脈硬化やさらに心筋梗塞などの危険性が増大します。
更年期の症状の出方の違い
更年期の症状の出方には個人差が大きいです。
卵巣機能の衰え方の差や体質的な要因
更年期は、卵巣機能の低下によるエストロゲンの減少が直接の原因ですが、卵巣機能の低下の度合いやホルモン分泌の低下の起こり方は人によって異なります。さらにホルモン分泌の乱れに対して、体が敏感に反応する人もいて、こうした要素が症状の出方の差に関係があると考えられます。
一般に、普段からホルモンの分泌が不規則で月経不順だったり、自律神経失調ぎみの人ほど、更年期症状が出やすい傾向があるといわれています。また不規則な生活や過労、睡眠不足なども、ホルモンや自律神経の乱れに拍車をかける原因になります。
ストレスに対する抵抗力も重要
ストレスを感じやすい性格の人や更年期に強いストレスに直面していると、エストロゲン分泌の低下に拍車をかけ、自律神経のバランスを乱していくことが少なくありません。
一定しない更年期障害
更年期の症状の大きな特徴は、症状が一定せず、また同じ症状でも日によって強さが違うことです。
たとえば、頭痛が続いたかと思えば、下腹部の張りやひどいだるさを感じ、そのうちだるさは消えて耳鳴りが気になるなど、不快な症状が次々と現れたり、重なって出たりと一定しません。
心や体に不調が現れたら、家族や周囲の人の理解のもとに、適切な治療を受けることが大切です。