基本的な治療方法
喘息には大きく分けて2つの治療方法があります。
喘息の原因が解明されてから、喘息の治療方法も大きく変化しています。
以前はは発作時に対応するための対症療法が中心でしたが、
今では、気管支の慢性の炎症に対しての予防的治療が重視されるようになっています。
予防的治療が重視されている理由は、
喘息の人は発作がない状況であっても気管支には炎症があるため、
炎症を起さないように日常的に治療することが大変重要と考えられているからです。
薬による治療
喘息は糖尿病や高血圧などと同じ、慢性の疾患です。
厳密には完治しないとさえ言われております。
しかし、正しい治療を受けることにより、症状をコントロールすることはできます。
健康な人と何ら変わりのない日々を過ごすことができるのです。
一番気をつけなければならないことは、
自分で「喘息が治った」という思いこみ、医師の了解を得ることなく、
本人が勝手に処方された薬を服用しなくなることです。
特に、発病初期の不十分ともいえる治療は、
その後の経過を悪化させてしまうことがあります。
医師を信頼し、指示通りの薬を指示通りの方法で
服用することが喘息治療の最大のポイントといえるでしょう。
薬の効果や副作用
吸入ステロイド薬
吸入ステロイド薬が現在では、喘息治療の第1選択として用いられています。
抗炎症作用の力を他のどの薬よりも強く持ち、予防的治療の主体となっています。
喘息の吸入治療用に特別に作られたステロイド薬で、全身性の副作用はないようです。
ステロイドという名前に嫌悪感を持つ人もいるでしょうが、
医師の指示通りに使えば、心配はありません。
口の中や舌が荒れる口内炎などの副作用は、
正しい吸入方法で防ぐことが可能です。
経口ステロイド薬
気管支の炎症を早急に抑えこみ、喘息には非常に効果的な薬であるといえます。
2週間程度という短期間であれば、大量に飲んでもあまり心配はいりません。
長期間使用してしまうと、高血圧や糖尿病、肥満、免疫力の低下、
骨粗しょう症などの副作用が出てくる可能性がありますので、
医師の処方を正しく守ることが重要です。
抗アレルギー薬
気道の炎症を抑える作用をもっています。
主にアレルゲンがはっきりしているアトピー型喘息に使用されています。
吸入ステロイド薬同様、突然起こる発作を静めることができる働きは持っていません。
喘息の治療に用いられる抗アレルギー薬に、抗ヒスタミン作用があるものとないものあります。
抗ヒスタミン作用のある薬は、副作用として眠気や倦怠感を伴うものがありますので
服用の際には注意が必要です。
気管支拡張薬
発作が起きた時に狭くなった気管支を広げ、空気の通りをよくすることで、
呼吸を楽にする作用があります。
最近、効き目が長時間持続する薬が登場したこともあり、
予防的治療にも使われることが多くなってきました。
動悸、手のふるえ、頭痛などの副作用を伴うことがありますので注意が必要です。
※治療に当たっては、必ず専門医にご相談ください。
予防的治療
【ダニなどに対するアレルギー対策】
最も代表的なアレルゲンは室内のほこりであり、主成分はダニと言われています。
ダニは高温多湿を好み、6月から10月は特に注意が必要。
ダニを寄せ付けないために、
- 湿気がたまらないように、部屋の風通しを日常化する。
- 週1回、ふとんにも掃除機をかける。
- じゅうたんや毛布、羽毛ふとんはできるだけ使用を避けて、掃除を頻繁に行う。
- 花粉の飛ぶ時期は、外出時にマスクをする。
- ペットを室内で飼わない。
などが効果的とされています。
【風邪などのウイルス感染防止】
風邪やインフルエンザなどのウイルスに感染すると、
喘息の発作が起こりやすくなってしまいます。
外から帰った時に、まず手洗い・うがいをすることが重要です。
特に咳だけが1週間以上続く時は、喘息のコントロールができていない場合があります。
早めに受診しましょう。
【運動誘発喘息の防止】
走ったり、運動したりすると喘息の発作が起こる可能性があります。
これは運動誘発喘息といわれています。
でも、喘息の人が運動をしてはいけないということでは決してありません。
医師の指導のもとで適切な治療を受けることで、運動しても発作は起こりにくくできます。
【禁酒】
アルコールを飲むと発作が出てしまう人がいます。
原因は、アルコールが体内で変化して作られたアセトアルデヒドという物質が
気管支を狭くするとされています。
不安がある人は、アルコールは基本的には飲まないほうがよいでしょう。
【禁煙】
タバコは喘息の悪化因子。
これは喘息に限ったことではなく、気管支や肺に病気を持った方には禁物といえます。
また、たき火や花火、蚊取り線香などの煙も気管支を刺激します。
できるだけ避けましょう。
【アスピリン喘息の防止】
喘息の人の約10%が、鎮痛解熱剤を使うと発作を起こします。
特に、中高年の女性に多いといわれていて、
アスピリン喘息と呼ばれています。
アスピリンだけではなく、ほとんどの鎮痛解熱剤が問題となっています。
アスピリン喘息と診断された方は、医師が処方した薬以外は飲むべきではありません。
高血圧や心臓病などの薬にも咳や喘息を誘発するものがありますから、
かかりつけ以外の医療機関で受診する際には、
自分が喘息持ちであることをきちんと伝えるようにしましょう。
【その他】
その他、身体的な疲労や精神的なストレス、大気汚染や香水などの強い香り、
天候の変化(急に寒くなるとき等)などには十分気をつけましょう。
喘息を根本的に治療しよう!
喘息を根本から治療し、改善するために心得ておきたい点がいくつかあります。
まずは治そうとする強い意志をもつこと
希望のふちには治癒が宿るという考えがあります。
良くなり、治りたいという希望をもち、そのために勉強したり、
鍛錬や交流を前向きに実行する人は年々、良くなっていきます。
風邪や肺炎が治るようには、喘息が簡単に治らないとしても、
治らない病気だから、一生仲良く付き合っていくようになどと諦めたり、
よくなるための努力を放棄するよりは、
前向きに考えることのできる人の方が良くなるものです。
一生治ることはないだろうと考えていると、
本当に治る気がしてこないものです。
健康な人でさえ、希望がなくては、よりよく生きることは難しいでしょう。
ましてや喘息の病気と直面している人やその家族にとって、コントロールするなどという説明では、
希望を持って生きていこうとする意欲などは十分に出てくるわけがありません。
希望をもつということは、喘息を根本的に良くしていくための前提条件です。
喘息について学ぶ
喘息ほど教育や勉強が大切な病気はないといえます。
糖尿病の食事療法以上に必要だといってもよいのかもしれません。
一つは薬物に関する知識です。
薬の知識と使用法に関連した事項を身につけるとよいでしょう。
二つ目は喘息をよくし、治していくための心構え、鍛錬、交流を持つという面です。
喘息をよくし、治す責任者は、自分であるといえます。
どのように薬を吸入し、飲むか飲まないかをさまざまなデータより判断するのも自分です。
勉強し、より多くの知識を身につけて、鍛錬したりするのも自分です。
医者は患者に24時間付き合うのは物理的に無理。
医者は患者を援助し、指導する指導医といえます。
つまり喘息を良くし、治すのは全部自分であると考えることが大切です。
さらにいえば、その指導医を選ぶのさえ自分なのです。
喘息は糖尿病などと同じで、患者が正しい行動をし続けなければなりません。
何事も継続しなければ、大きな力にはなりません。
一時の勉強や、鍛錬だけではすぐに元に戻ってしまいます。
日々の努力が習性となるようにする必要があります。
体を鍛錬する
複式呼吸
腹部を上下させることにより、横隔膜を動かし、腹筋を強めるための呼吸。
気分が落ち着き、喘息発作を鎮静化させる作用もあります。
目的は、腹筋を強くし、少々の発作であれば、克服できるようになることです。
皮膚摩擦
乾布摩擦や冷水摩擦は冬に風邪をひかないと言われてきました。
皮膚の新陳代謝が活発になることで、温度差の影響をうけにくくなるからとされています。
当然血行もよくなりますし、いろいろなツボも刺激されます。
交流や本から
本を読んだり、同じ境遇の方々との交流などから学び、
自分の生い立ちや考え方、ストレスに対して正面から向き合ってみるのが大切です。
そして日常においての行動で、これまでとは違う自分を作っていきます。
目標と実践
これまでと違う自分を作るという作業が必要となってきます。
まずは目標を設定します。
その目標に向けて、計画を立案し、行動します。
目標1
気管支の炎症を抑え、より快適な気管支を維持するための薬物治療などや、
教育、さらには治療を受けることです。
薬はもちろん最小限。
副作用を避けて、日常を元気に過ごせるようになることです。
目標2
喘息には理由があるはずです。
これまでの人生を自省し、残りの人生をよりよく生きることが第二の目標。
目標3
喘息という試練に直面して、その事柄から何かを学び、
本当の自分、自己実現を目指して生きることが最終的な目標といえます。
喘息の発作が起きたときの応急処置方法
喘息の発作は、まず呼吸が苦しくなり、一回ごとの呼吸の時間が長くなります。
呼吸はヒューヒュー、ゼェゼェと大きな音を発します。
呼吸の苦しさが増すと、酸素欠乏のため、ごくまれには命を失うこともありますので注意。
まず楽な姿勢にさせましょう。
衣服を緩め、イスに座らせて机にもたせかけ、背に毛布などをかけることから始めます。
水分を多めに取らせ、腹式呼吸を心掛けさせます。
腹式呼吸は、鼻からゆっくりと深く息を吸い、吸い終わった時、お腹が最大限に盛り上がるように、お腹をふくらませます。
吐く際には、口を細くすぼめて吐く息に抵抗がかかるようにしましょう。
腹式呼吸のコツは、左手を胸にあて右手をお腹にあてて、息を吸うときも吐くときも、左手が動かないようにすることです。
腹式呼吸を続けていると、痰(たん)が出るようになり楽になっていきます。
痰が詰まっているときには、平手で両胸をたたき、痰を浮かせましょう。
痰が出そうになったら、頭を低くし咳をして痰を出してしまいます。
このときには、背中をたたいてもらうのもいいでしょう。
喘息発作の対処法
子供や高齢者に限らず、若い人でも、
喘息の発作が起こると体力消耗が著しく、
急激に症状を悪化させてしまうことがあります。
喘息の発作が起きたら
発作時、呼吸の状態や息苦しさに普段と異なることがあった場合、
慌てず速やかに受診の準備をしましょう。
発作が起きた場合には、まず椅子に座るなどなど楽な姿勢をとります。
そして慌てず、腹式呼吸を心がけるようにしましょう。
注意したいことは、発作を起こしている人にとって、
楽な姿勢は、必ずしも寝そべることではないということです。
咳き込んだときには、誰でも自然と上体を立ち上げますが、
こうすることで気道に溜まった痰が吐きやすくなったりするからです。
水や白湯など刺激のない飲み物を飲むことで呼吸が楽になることもあります。
処方薬を使用している場合には、指示書に記載された1回量をきちんと守り、
発作が治まってもしばらくは安静が必要です。
発作が起きない状態が3~4時間続いたならば、受診の必要なしと判断してもいいでしょう。
喘息の予防
かつて、アレルギーと診断されたことがある人は、現在において自覚症状がなかったとしても、
アレルゲンの除去や、普段からの体調管理が、ぜんそく予防の第一歩になります。
年齢を重ねるに伴い、アレルゲンが変化することもありますので、
改めてアレルギー検査を受けてみるのも予防上の大切な心がけといえます。
また、感染症にかかりやすくなったり、疲れやすいなどの場合は、
病気に対する抵抗力が弱くなっている証拠。
睡眠不足やストレスは、そうした抵抗力の低下に拍車をかけることが
ありますので注意が必要です。
このような場合は、十分に休養と栄養をとり、適切な運動を心がけ、
体力増強を図るよう努めると良いでしょう。
これらの注意事項は、ぜんそくや他のアレルギー予防に限らず、
どんな生活習慣病予防についても共通といえます。
喘息の病院
喘息専門医の探し方
一般に標榜科目を確かめて受診されていると思いますが、
喘息の場合は、標榜科目に喘息と書くことはできません。
非常にわかりにくいというのが現状です。
喘息は、内科あるいは小児科とあれば、ほぼ喘息を診察してくれますが、
喘息を専門としている病院とそうでない病院があります。
その場合は、標榜科目に呼吸器科、アレルギー科と書いてあれば、
喘息を良く診療されている病院と考えても良いでしょう。
アレルギー科は多くの病院で標榜しています。
- 呼吸器科・アレルギー科=喘息
- 耳鼻咽喉科・アレルギー科=アレルギー性鼻炎・花粉症
- 皮膚科・アレルギー科=アトピー性皮膚炎などのアレルギー性皮膚疾患
- 小児科・アレルギー科=喘息などのアレルギー疾患
を指していると考えていただくと良いのではないでしょうか。
呼吸器科・アレルギー科を標榜していなくても、
喘息について精通している医師がいる場合もあります。
喘息の病院
札幌医科大学附属病院
リハビリ科 外科 眼科 形成外科 産婦人科 歯科口腔外科 耳鼻咽喉科 小児内科 神経内科 整形外科 総合診療 内科 脳神経外科 泌尿器科 皮膚科 婦人科 放射線科 麻酔科
TEL 011-611-2111
北海道札幌市中央区南1条西16-291
岩手医科大学附属病院
アレルギー科 歯科 歯科口腔外科 眼科 耳鼻咽喉科 呼吸器内科 リウマチ科 産婦人科 呼吸器外科 外科 矯正歯科 リハビリ科 循環器科 小児歯科 小児内科 消化器科 心臓血管外科 心療内科 神経内科 整形外科 精神科 内科 脳神経外科 泌尿器科 皮膚科 美容外科 婦人科 放射線科 麻酔科
TEL 019-651-5111
岩手県盛岡市内丸19-1
東北大学医学部附属病院
内科 心療内科 精神科 神経内科 小児内科 外科 整形外科 産婦人科 眼科 耳鼻咽喉科 リハビリ科
TEL 022-717-7000
宮城県仙台市青葉区星陵町1-1
獨協医科大学病院
内科 精神科 呼吸器内科 消化器科 循環器科 小児内科 外科 整形外科 産婦人科 眼科 リハビリ科 神経内科
TEL 0282-86-1111
栃木県下都賀郡壬生町大字北小林880
同愛記念病院
アレルギー科 リハビリ科 外科 眼科 形成外科 産科 産婦人科 耳鼻咽喉科 小児内科 神経内科 整形外科 精神科 内科 泌尿器科 皮膚科 放射線科 麻酔科
TEL 03-3625-6381
東京都墨田区横網2-1-11
帝京大学医学部附属病院
リハビリ科 耳鼻咽喉科 眼科 産婦人科 泌尿器科 皮膚科 整形外科 外科 小児内科 神経内科 精神科 内科
TEL 03-3964-1211
東京都板橋区加賀2-11-1
昭和大学病院
婦人科 産婦人科 呼吸器外科 整形外科 外科 小児内科 循環器科 消化器科 呼吸器内科 精神科 内科 神経内科
TEL 03-3784-8000
東京都品川区旗の台1-5-8
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内科 精神科 神経内科 呼吸器内科 消化器科 循環器科 リウマチ科 小児内科 外科 整形外科 産婦人科 リハビリ科
TEL 042-742-8311
神奈川県相模原市桜台18-1
公立陶生病院
内科 精神科 神経内科 循環器科 小児内科 外科 整形外科 呼吸器外科 産婦人科 眼科 耳鼻咽喉科 リハビリ科
TEL 0561-82-5101
愛知県瀬戸市西追分町160
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血液内科 呼吸器外科 呼吸器内科 産婦人科 リハビリ科 外科 眼科 アレルギー科 歯科口腔外科 耳鼻咽喉科 循環器科 小児内科 消化器科 心臓血管外科 神経内科 整形外科 精神科 糖尿病・内分泌科 内科 泌尿器科 皮膚科 婦人科 放射線科 麻酔科
TEL 073-447-2300
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アレルギー科 リハビリ科 外科 眼科 形成外科 血液内科 呼吸器内科 産婦人科 歯科口腔外科 耳鼻咽喉科 循環器科 小児内科 消化器科 心臓血管外科 神経内科 人工透析 整形外科 糖尿病・内分泌科 内科 脳神経外科 泌尿器科 皮膚科 放射線科 麻酔科
TEL 072-366-0221
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宮武内科
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